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中小企業におけるコロナ融資の返済は難しい
オミクロン株が猛威を振るい、コロナウイルス第6波がこれからピークを迎えようとしています。今後、第6波の後に第7波が来るか、このままコロナウイルスが弱毒化し、収束に向かうかの判断は、もう少し先になると推測されます。
このような先の読めない経済社会情勢ではありますが、最近の新聞等の情報によると、非製造業において業績はまだ回復途上ですが、大企業を中心に、製造業においてはコロナ前の業績にほぼ戻りつつあるとのことです。このことに対してむろん異論はありません。
しかし、真の大きな課題は、中小企業がコロナ前の業績に戻しつつ、コロナ融資で調達した借入金の返済をどのように進めていくかということだと考えます。
以下に、中小企業を各タイプに分類し、課題の整理を試みたいと思います。
① コロナ前は業績好調、コロナ以後に業績悪化、コロナ融資を多額に資金調達
◇製造業等(コロナの影響が小さい業種)
大企業より回復は遅れるものの、原材料高騰等のリスクを回避しながら、1年から2年かけて業績を回復させ、コロナ融資を含む全借入金の約定弁済を進めます。
このタイプの企業にはあまり問題はなく、業績回復までコストコントロールをしっかり行いながら凌いでいき、場合によっては、融資返済の据置期間を延長すれば何とかなります。本格的な経営改善計画は必要ないと考えられます。
◇非製造業(特に、コロナの影響の大きい飲食業・宿泊業・観光関連業等)
特に、飲食業は、以前のような団体客は見込めず、コロナ前の業績にはもう戻らないでしょう。減少後の売上に合わせたコスト構造へ変革しなければならず、人員削減も視野に入ってきます。コストカットと同時に、新商品開発・新規事業展開を目指し、DXを含めた事業構造の再構築が求められてきます。
このタイプの企業は、コスト構造変革と新規事業展開等を同時に進めなければいけない点では、かなりハードルは高いと言えるでしょう。新規事業展開等を進めるには、事業再構築補助金等の活用が有効ですし、戦略の転換やコスト構造変革には、やはり経営改善計画策定は必須です。しかも、新規事業展開等を内包する経営改善計画策定ですから、まったく従来とはタイプの異なる計画策定であり、相当難易度は高くなります。
② コロナ前から業績不調、コロナ以後にさらに業績悪化、コロナ融資を多額に資金調達
◇製造業、非製造業
従来から業績が悪化していた窮境企業が、本来であれば、資金調達が困難にも関わらず、コロナ融資の名目で、多額の資金調達が可能となってしまった企業が対象です。
このタイプの企業は、まず生き残りのための資金繰りの維持、大幅なコスト削減等が必要となります。コロナ融資で借入金がさらに増えてしまい、赤字の垂流しにも歯止めがかかっていない企業が散見されます。再生支援協議会等に持ち込むなどして、企業再生を目指す経営改善計画策定となります。借入金が増加した分、当然、難易度はかなり高くなります。